「敗者のゲーム」が教える投資の基本原則
本書では投資の基本原則として、長期的な資産配分の重要性、資産の分散、方針を立て方針通りに行動すること、といった点を分かりやすく紹介しています。
特に最後のポイントについて、投資の失敗は決めた投資方針が揺らぎそれを変更することによって起きることが指摘されています。よく暴落時に狼狽売りをすることが問題とされる点と一致しており、この原則は常に肝に銘じる必要があると捉えています。
短期の値動きに意味はあるのか
短期の値動きと長期的な市場の成長について「天気」と「気候」を例として紹介されています。
天気はあくまで短期的な現象、気候は長期的な現象であり、気候の良い場所で住みたいと考えている人が先週の天気を当てにするのは意味がない、と指摘しています。
この例えは分かりやすくとても印象に残っており、ミクロ・マクロとか言われるよりもそういうことか、と腹落ちしました。カラッとした気候を望むなら日本の先週の気温と湿度を確認するよりも、地中海周辺に旅行してみるのがいいかもしれない、あんま上手く言い当てていませんが、、そういうことかなと思っています。
平均への回帰という避けられない現象
これも常に頭に入れておきたい点、平均への回帰。株式の超長期運用での期待収益率(インフレ調整後)では約7%ということが言われていますが、この数値を目安として平均から見て今が高いのか、低いのかを考えることは重要と考えています。
良い後は悪い、悪い後は良い、というように長期的には平均に収斂していくということですので、例えば1年間のリターンが2桁台であれば、どこかで平均以下のリターンの年が来るということを想定しておくべきだと思います。
長期投資をする上では一喜一憂しないためにもこういう視点を持っておくことが冷静に相場環境や市況を見るために大切な心構え、知識だと捉えています。
株式は本当にリスクが高いのか?
株式は暴落時には半値以下になることもあり、また倍以上に値上がりすることもあります。このような変動が大きい点を見てリスクが高い、危険、と判断するのは早計であることを本書では他の資産との対比で説明しています。
株式、債券、現金をインフレ調整後期待収益率と変動幅の点で比較しています。1年のような短期から25年のような長期まで比べていくと徐々に各資産の収益率変動幅が小さくなり、その中で唯一株式については収益率変動幅の下限がプラス圏におさまることが示されています。
これは物・サービスの値段は長期的には増加していく、すなわちインフレが進むことを指しており、株式がインフレを乗り越えていくためには重要な役割を担うことを表しています。
株式の比率を高めることは短期的にはリスクを伴うことになりますが、長期的にみれば逆に安全であると言えるかもしれませんので、とにかく長期投資ということが改めて重要と認識できます。
株式はインフレに対する最も実践的なヘッジ
ではなぜ株式がインフレに対して強いのか。今まさに日本や米国でインフレ環境となっており、その答えがあるように感じます。
インフレにより物の値段が上がる、企業の収益が増え賃金が上がる、それにより更に物の需要が高まることで継続的に物の値段が上がる。この循環が過熱し過ぎないことで好景気が生まれ株価が上昇していく。この間インフレが進むことで現金の価値は相対的に下がり、インフレにより利上げが起きれば債券価格は下がりますが、株価だけは上昇していきます。
もちろんその前提はインフレが緩やかに続くことですが、親世代の物の値段から今の物の値段を見ると高くなっていることはよく耳にしていたので、感覚的にもこの傾向は続いていくのかと思います。
日本では失われた30年と言われるようにデフレが長い期間続き、なかなか賃金が伸びない、成長産業が生まれないという状況でしたが、今徐々にインフレが進み、賃金が上がり始め、株価も過去最高値を記録しています。デフレがあっても長期的にはインフレが進むことが今まさに示されているのかもしれません。
この点からも株式はインフレに対する最も実践的なヘッジになっていると言えるかと思います。
おわりに|長期投資で大切なことは「基本原則を守り続けること」
本書では分かりやすい具体例やデータをもとに長期投資に対する姿勢を示してくれています。
結論としては、長期投資で大切なことは「基本原則を守り続けること」だと思います。
そのことを色々な視点から説明してくれているのが本書であり、何度も読直し振返りながら自分のものにしていきたいと思います。


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